第八節 あらゆる可能性に向けた 再生医療へのどとう怒濤の挑戦
慶應義塾大学再生医療リサーチセンター、岡野栄之教授についてより深く知って頂くために、彼のこれまでの研究人生(肖像)について、ドキュメンタリー形式のシリーズで綴らせて頂こうと思います。
第八節 あらゆる可能性に向けた再生医療へのどとう怒濤の挑戦
「コモンマーモセットの脊髄損傷モデルは世界初です」
実験動物中央研究所と共同で開発した霊長類は『Nature』の表紙を飾った。
マウスの神経幹細胞移植で運動機能の回復に成功し、ヒトに近いモデルで細胞移植の開発を目指した。だが当初使ったES細胞は、中絶胎児の細胞由来であることが倫理的に問題視され、利用にブレーキがかかった。2006年、突破口は京都大学の山中伸弥氏らが行った成人の皮膚から作れるiPS細胞の発表。すぐに脊髄再生の共同研究を申し込んだ。
「快諾してくれました。だけどいくら酒を飲ませても、〝山中4因子〞の名前は言わなかったね(笑)」
それは細胞を初期化する4因子が明かされる前年だった。iPS細胞を用いた研究は脊髄損傷から、パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)など神経難病への治験が進められ、新たな治療法確立を目前とする。脳梗塞や脳損傷で失われた神経細胞の再生研究は、2001年から二人の医療ベンチャー創業者・森敬太氏と川西徹氏と共に開始した。
「創業科学者への就任を請われました」
健常者の骨髄液から大量培養したSB623で、脳の損傷を修復し神経細胞を再生、脳機能を回復させる。市場投入まで責任を持つという本気度に共鳴して受諾した。現在、治験を終えて認可前夜である。加齢黄斑変性や認知症なども次の視野に入れている。
また、岡野氏がセンター長を務める慶應百寿総合研究センターでは、110歳以上のスーパーセンチナリアン(SC)100人の全ゲノム解析を行い、長寿の秘密をAIで解明する。認知症やフレイルの治療法も研究中である。
「SCは特殊なT細胞を増殖することを突き止めました」
日本再生医療学会の理事長としても旗を振る岡野氏は、再生医療の山々へひたすらアタックしている。
「若い人に教えて教わる半教半学の精神です」
医療そのものを変えようとしている岡野氏の挑戦は、あらゆる可能性に向けてやみくもに突き進んでいるようにも見える。果たしてそうだろうか? そこには明確なルートがある。
【ドクターズマガジン2021年8月号】より
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投稿者プロフィール

- Project Associate Professor
-
Satoru Morimoto, M.D., Ph.D.
Keio University Regenerative Medicine Research Center (KRM)
Project associate professorResearch Gate Building TONOMACHI 2, 4B, 3-25-10, Tonomachi, Kawasaki-ku, Kawasaki-shi, Kanagawa,
210-0821, Japan
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