第5回領域会議 参加レポート
2025年9月9日-10日の2日間に渡り、山形県鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所にて、第5回 領域総括班会議が行われた。
私は昨年に引き続き2回目の参加で、指導教員の鈴木秀文講師の同伴者として、今年も参加の機会を頂いた。
過去のノンドメインブログを辿ると、第3回領域会議も同キャンパスで行われたらしい。キャンパスのすぐ近くに位置するスイデンテラスは、田んぼに囲まれた美しい宿泊施設で、2泊3日、快適に過ごすことができた(ごはんと日本酒🍶がおいしい)。
代表挨拶から流れるようにして、中川先生の発表が続く。そこからは順調に遅れながらも次々ノンドメインな生体高分子の話が続いた。
マウス、クマムシ(!!)、発生、生化学、分子構造、進化、病態との病態との関連…と物質としては似たような特徴をもつはずのノンドメインタンパク質/RNAが多角的に解析され、その多様な生理機能が引き出されていく様は、大変面白かった。ノンドメインな生体高分子という共通項を通じて、対象も手法も互いに異なる研究が集積するのは、この領域ならではだろう。
個人的には、核酸結合タンパク質の天然変性領域の分子動力学的解析が興味深かった。
一見ふにゃふにゃのIDRが鍵と鍵穴にとどまらない様式でRNAと”結合”している、とは言葉で聞いてもあまり分かった気がしない。それが、計算科学的な解析を通じて、RNAとノンドメインタンパク質の分子間相互作用が可視化されることでイメージがわき、確かにIDRが独特の相互作用を実現していて、重要な機能を持っていることを実感した。
ワールドポスターセッションでは、15分ごとに5人程度のグループに分かれて、自分の研究内容を短く発表した。大変参考になる実験系も多くあった上、色々な分野をつまみ食いできて楽しかった。
本会議に参加した2回とも、会議全体を通じて、とにかく先生方が楽しそうにお話しされていたのが印象的だった。
聞けば、発表だけでなく、コーヒーブレイクのちょっとしたおしゃべりも、点と点をつなぐとはよく言ったもので、重要な契機となっている場合は多いとか。
最近は暗いニュースを聞く機会が多く(余談だが一昨日発表された学振の採択率は10%を切った_:(´ཀ`」 ∠):_)、進路選択が迫る博士学生としては不安も多い。Twitterを覗けば科学を巡った論争に荒い言葉も多く、貧すれば鈍するなのか、時折最も重要なことを忘れそうな気もする。私個人は少なくとも今はそういったことに気を取られている場合ではなく、実験に脳みそに、積まねばならない修練は膨大を極めるが、やはりそもそもの大方針として確実に面白いということは重要で、コミュニティとしても個人としても楽しくあることは重要で、こんな風に研究を続けていけたら幸せだとぼんやり思った。
最後に、5年間に渡り、代表として領域を牽引してこられた中川先生、各班の先生方に心より敬意を表し、筆を置きたいと思います。大変貴重な参加の機会を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
横浜市立大学医学研究科分子生物学教室
博士1年
伊藤清香