端の研究から見えるものーその1―
稲田です。異常翻訳の解消機構を解明すべく、mRNAの3’端にあるポリ(A)鎖を翻訳した場合の異常について研究開始したのが2001年です。その後、通常翻訳されないポリ(A)鎖を翻訳すると、リボソームが止まる(停滞する)ことが明らかになり、衝突リボソームを解消する品質管理機構の発見につながりました。リボソーム衝突を認識するE3ライゲースによるリボソームユビキチン化、リボソームユビキチン化に結合するRNAヘリケース複合体依存の翻訳強制終了等、従来ほとんど注目されていなかった翻訳伸長段階での新規制御が見つかってきました。今回の計画研究での解析対象は、3’末端のポリ(A)鎖上流の非翻訳領域にあるdORFの翻訳開始機構です。メインストリームの研究からは見えてこないものが、「端」の研究から見えてくることを信じて、班員の皆さんと一緒に研究を発展させたいと思っています。