HemK2 functions for sufficient protein synthesis and RNA stability through eRF1 methylation during Drosophila oogenesis

ショウジョウバエの卵発生の過程において、HemK2メチル基転移酵素がタンパク質合成の終結因子であるeRF1をメチル化すること、さらに、mRNAの安定性にも寄与することを世界で初めて明らかにしました。このメチル化が損なわれた場合、タンパク質合成が著しく減少すると同時に、翻訳されたmRNAが分解され、卵発生が中断されます。すなわち、HemK2によるメチル化修飾は、卵の成熟を許可するスイッチの1つであり、今回、研究グループはその分子メカニズムを明らかにしました。

これまでHemK2がメチル基を付加する基質候補として、複数のタンパク質やDNAが報告されていましたが、どれが生理的に重要な基質であるのかは不明でした。今回、甲斐教授と河口助教らの研究グループは、生殖細胞におけるHemK2の生理的な基質はタンパク質合成の終結因子(eRF1)であり、eRF1のメチル化がタンパク質合成を促進し、同時にmRNAの安定性も保証していることを明らかにしました。この研究成果から、HemK2の働きを阻害することで、タンパク質合成が活発な細胞の機能や増殖を選択的に阻害することが期待されます。

DOI https://doi.org/10.1242/dev.202795
PubMed https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/38881530
URL https://syndication.highwire.org/content/doi/10.1101/2024.01.29.576963

原著論文 Development (2024)
論文タイトル HemK2 functions for sufficient protein synthesis and RNA stability through eRF1 methylation during Drosophila oogenesis
著者

Fengmei Xu (1), Ritsuko Suyama (1), Toshifumi Inada (2), Shinichi Kawaguchi (1), Toshie Kai (1)

  1. Graduate School of Frontier Biosciences, Osaka University, Osaka, Japan.
  2. Division of RNA and Gene regulation, Institute of Medical Science, The University of Tokyo, Tokyo, Japa