新しい方法で反復配列を作ってみませんか?
研究成果でご報告した論文「A Novel Gene Synthesis Platform for Designing Functional Protein Polymers」について、もう少し解説したいとおもいます。
この論文では、同じ配列が繰り返し現れる、いわゆる反復配列を持った遺伝子を効率的に合成するための新しい手法「SCRCA(Seamless Cloning of Rolling-Circle Amplicons)」を提案しています。反復配列を持つタンパク質は、高強度繊維、超高弾性材料、薬物送達技術、細胞内制御ツールなど多様な分野で利用される可能性があり、そうしたタンパク質の遺伝子をいかに効率的に作るかが研究発展のカギと考えています。
このSCRCAの大きな特徴は、企業に普通遺伝子(反復配列を持たない遺伝子)の合成を依頼するのと変わらない費用と期間で反復配列を持った遺伝子を合成できる点です。遺伝子の長さにもよりますが一般的に、企業は反復配列の合成を引き受けてくれません。それは、同じ配列ばかりなので制限酵素やPCRが使いにくいためと考えられます。実験室で反復配列を合成する場合、これまでは、クローニングを繰り返して短い断片をつなげていく合成法が用いられてきました。しかし、これには膨大な時間とお金と忍耐が必要です。時間がかかるうえに成果が見えにくいテーマは敬遠されがちな昨今、こうした操作を好き好んでやりたがる研究者はいないでしょう。
SCRCAをオープンアクセスのAdvanced Science誌に掲載したのは、ぜひ一度このSCRCAを使ってみてほしいという想いからです。操作については、論文の「Experimental Section」に記載しておりますが、特別な装置やプログラムは必要なく(反復配列の合成に関しては、サーマルサイクラーすら要らない)、一般的な生物の実験室で実施可能なものばかりです。一度使ってみていただければ、時間がかかると思われていた反復配列の合成が意外にも簡単だったと思うはずです。
天然変性タンパク質の無秩序な領域には反復配列が多いといわれています。この無秩序な領域を理解するため、あるいはそれらの機能を利用するため、自ら反復配列を合成したい場合にはこのSCRCAをご活用いただければと思います。その際は、合成してみた感想を教えていただけるとうれしいです。
投稿者プロフィール

- 一関工業高等専門学校 准教授
- 岩手県にある一関工業高等専門学校で教員をしております。いかに効率的に新しいバイオ素材や生命現象を創り出せるかに興味があります。