非ドメイン生物学における美の追求

今年度より、非ドメイン生物学公募班に参加させて頂きます新潟大学の矢野真人と申します。

自己紹介とこれまでの研究紹介とを兼ねた寄稿文を日本神経化学会の会報に書いたばかりで、こちらのノンドメインブログにもリンクを貼らせてもらい楽をしようと目論んでたところ、残念ながら、発刊が間に合いませんでした。こちらの読者の方々にもぜひ宣伝を兼ねて、後日、編集でリンクを入れることにします(---;)。

改めまして、私はこれまで、神経発生や神経疾患におけるRNA結合蛋白質機能について研究を行ってきました。題して”RNA結合蛋白質解析の成せる利と美(3年前の分子生物学会のワークショプタイトルを少しだけいじりました)。簡単に申しますと、RNA結合蛋白質群をトランスクリプトーム情報に対するインパクトや細胞種特異的な発現パターンによる分類法の確立と新規RNA結合蛋白質の同定、また神経系の発生や疾患における個々のRNA結合蛋白質の機能解明や新しい分子治療法の確立を目指すものです。

RNA結合蛋白質は、言うまでもなく液-液相分離と切っても切れない関係でありますが、私自身はこれまで液-液相分離という観点でRNA結合蛋白質機能に迫って来たわけではありませんでした。そのような中で、上記のRNA結合蛋白質群の分類学研究や新しく行った低分子化合物スクリーニングの結果、核小体やストレス顆粒などの非膜オルガネラ構造体の含有物を特異的に変化させる分子群を見つけ、スクリーニングから得られた分子群の標的シグナル経路や作用部位を考慮した結果、液-液相分離と非常に深い関連のある現象が見られ、これはチャンス到来と本領域に応募した次第でございます。

採択して頂き、改めて本領域の高い専門性とクオリティー、自身の研究との関連の多さに驚いております。新参者のつもりで積極的に皆さんと交流を深めながら、低分子化合物やハブRNA結合蛋白質による非膜オルガネラ研究を発展させ、非ドメイン生物学の美を目指しますので、どうかよろしくお願い致します!