学術変革領域研究と祇園祭

 

 このたびは本学術変革領域研究の公募研究に採択していただき、ありがとうございました。私は核酸とタンパク質の構造と相互作用を、主にNMR法によって解析する事を行ってきました。最近は、核酸やタンパク質を導入したヒト生細胞を試料管に詰めてNMRスペクトルを測定する事(インセルNMR)で、生細胞中における核酸とタンパク質の挙動に関して、分子・原子レベルの分解能の情報を取得する事に注力しています。

 私達は、癌やALSと関連するFUSタンパク質に関し、非コードRNAとの相互作用の研究を行ってきました。非コードRNAと相互作用すると、FUSがコンパクトな構造から伸びた構造に大きな変化を生じる事を見出しました。この研究の過程で偶然、ピペッティングによるせん断応力によって、FUSが凝集体を形成する事を見出しました。また、非コードRNAにはこの凝集を阻害する効果がある事も見出しました。さらにこれとは別の非コードRNAに関しては、アデニン塩基の6位のメチル化によって、FUSとの相互作用が制御されている事も示唆されています。FUSと非コードRNAの相互作用とFUSの動態制御に関して、研究を進展させられればと考えています。

 先週、祇園祭りに行ってきました。京都に居るとかえって行く気があまり起こらず、今回が初めてでした。これまで祇園祭りにはほとんど興味がありませんでしたが、いざ行ってみるとにわかに興味が沸き、同時期に2日に渡って放送されたNHK BSの特番に見入りました。写真はいわゆる鉾(ほこ)で、これに大勢の人が乗って市内を巡行します。私も今回これに乗せてもらいました(30秒位乗って千円です)。本領域の会議に参加して議論を交わす事で、にわかに興味が沸く研究に出会えるのではないかと期待しています。

投稿者プロフィール

片平正人
片平正人京都大学エネルギー理工学研究所 教授
タンパク質と核酸の立体構造と相互作用の解析に基づいて、生命現象の本質を理解する。