生化学会・Tokyo RNA Club近づいてまいりました(2)
生化学会・Tokyo RNA Clubコンボのスピーカー紹介第二弾はStephanie Moonさんです。
え、これ生態学者の別のMoonさん?みたいなflavorのMoonラボのHPはこちらです。はい。間違いありません。RNAって書いてありますから。話はそれますがニュージーランドに僕と同姓同名の中川震一さんという生態学者の方がおられて、名前からして完全に負けているのですが、分子生物学と生態学の境界分野で大活躍。世代も僕とほぼ同じ。web上の顔写真もなんか似ている。時折勘違いしたeditorが生態学の論文の査読を回してくるんですが、僕のHPをMoonさん風にしたらさらに勘違いするeditorが増えたりしてとかおもったり。
初っ端から話が脱線してしまいましたが、こちらがMoonさんのYoutubeの紹介動画。Twitterのアカウントもあるようです。
MoonさんはJeffely WiluszさんのところでRNA学位を取られ、その後、P-bodyの発見者、RNA業界の巨人、背丈も巨人のRoy Parkerさんのところでポスドクを経て最近ミシガン大学で独立された新進気鋭の研究者です。Wiluszさん、、、ん、あれ、Malat1やNeat1の3’にあるtriple helix/tRNA構造を見つけたJeremy WiluszさんとこでPhDとったって計算合わなくない??とおもったら、First nameが違うではないですか。WiluszさんはWiluszさんでも、JeremyさんでなくJefferyさん。恥ずかしながら寡聞にして知らなかったのですが、実はJefferyさんはJeremyさんのご尊父だそうです。ウイルスによるホストのRNA制御をはじめとして数々の論文を発表されている大御所です。今はインターネットの普及によって最近は平均4名を介せば世界中の人とつながっているらしいのでそんなに珍しくはないことなのかもしれませんが、僕-廣瀬さん-Neat1-Jeremyさん-Jefferyさん-Moonさんの5次のつながりを発見して妙な親近感を感じてしまいました。
Moonさんのお仕事で印象的なのは、Roy Parkerさんのところのポスドク時代のmRNAの一分子イメージングの論文。mRNA-stress granule/P-body-翻訳中のnascent peptideを同時に可視化。仕事柄RNAの局在を見ることが多いのですが、いつもはsnap shotばかりなので、mRNAがgranuleに入ったり出たり、という様子を動画で見ると、色々と想像力が掻き立てられます。stress granuleに入ったmRNAは翻訳中のものなのか、翻訳停止した後で入るのか、ボディに入った後、動くのかじっとしているのか、ストレスがなくなった後mRNAはボディから離れるのかそのまま分解されるのか、こういった疑問はsnap shotだけ見ていてもなかなか明確な答えを得ることができませんが、live imagingによって、論より証拠、百聞は一見にしかず、ほらそうでしょ、と答えを出してくれるところが素晴らしいところです。新しい技術を使えば新しいイメージが取れるというのはそうなのですが、イメージングの仕事というのはともすると、綺麗だね〜、でもだからどうしたの??という疑問に100%答えられなかったりするものです。この辺り、僕自身色々反省するところはあるのですが、こういう疑問に応えたいからこういう実験を行う。エレガントな問題設定は本当に見習いたいところです。
ちなみに、Tokyo RNA Clubでは東工大の木村宏さんのところでヒストンバリアントの一分子イメージングをされたのが記憶に新しい(コロラド州立大学)さんもご講演されます。
ビジュアル系が好きな人にはオススメです!
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