Tejas functions as a core component in nuage and precursor processing in Drosophila piRNA biogenesis
大阪大学大学院生命機能研究科の大学院生の Lin Yuxuan(研究当時 博士課程)、須山律子特任助教(常勤)、甲斐歳惠教授らの研究グループは、生殖細胞のゲノムを守る小さな RNA(piRNA)が作られるヌアージュという非膜オルガネラの形成に Tejas(Tej)というタンパク質が重要な役割を果たすことを明らかにしました。
この小分子 piRNA はヌアージュで特殊な増幅経路(ピンポン増幅経路)を経て生合成され、トランスポゾン※4の発現を抑制することで生殖細胞特異的にゲノムを保護する機能を持つことが知られています。しかしながら、どのようにヌアージュが形成され、piRNA の前駆体がヌアージュへ運ばれているのかはわかっていませんでした。
今回、甲斐教授らの研究グループは、ショウジョウバエ生殖細胞を用いて、eTudor ドメイン※5を持つ Tej が Vasa(Vas)、Spndle-E(Spn-E)という2つの RNA ヘリカーゼをヌアージュに局在させる中心的な役割を持ち、その形成を促進していることを明らかにしました。さらに、このような Tej の役割は piRNA 生合成経路において piRNA 前駆体の切断や形成といった機能に重要な役割を果たしていることが分かりました。
これまで、piRNA の機能異常やプロセシング異常による生殖細胞ゲノムの損傷が不妊を引き起こすことが知られており、今回我々が示した Tej が担うヌアージュ形成および piRNA のプロセシングの分子基盤の解明によって、このような生殖機能疾患の予防や治療のための創薬につながると考えられます。
Authors: Yuxuan Lin, Ritsuko Suyama, Shinichi Kawaguchi, Taichiro Iki, Toshie Kai
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